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そうして、到着したのは隣駅のショッピングモール。
夏休み真っ只中だからか、どこのエリアも人で溢れていた。
「…わ、みて。あのひとめっっちゃカッコいい!やばい、」
「いや横見なさいよ、カノジョ持ちじゃん~」
「あ、ほんとだ……」
同じような内容の会話を聞くのは、もう何度目だろう。
だって、─────さすがに盲点だった。
きりくんを私用に付き合わせるのは申し訳無いから、……って拒もうとしていたわたしは、とんだ考えなしだったのだと、ようやく実感している。
''彼''に向けられる見惚れるようなうっとりとした瞳、……そして、隣を歩く''わたし''に流れるように視線が移動する。見定めるようなそれらを避けるために、今日、何度俯いたかわからない。
……もっと、服装諸々に気を遣ってくるべきだった。
メイクだけはいつもより丁寧に施したつもりだったけど、きりくんの隣に立つにはまだ配慮が足りなかったみたいだ。
「……ろ。こころ」
「っひ、……!」
考えを巡らせていると、とつぜん、視界いっぱいが綺麗な顔で覆われる。とんっ、と眉間のあたりに指先があてられて、おもわず足を止めた。



