「わたしときりくんの、利害の一致です」
ふたりの不透明な動機が、ただ、偶然に重なっただけのこの関係は、周りのひとに理解される必要もないし、されなくてもいい、とおもう。
鼓膜の奥ではっきりと響く自分の声が、時間差で室内の空間を編んでいく。
仄かな笑みを浮かべながら告げたわたし、……の答えに納得したようにも見える桜玖さんは、意味深な笑みを深める。
「あやこ面白い。退屈しなそー……」
「……?タイクツ?」
「はは、こっちの話だから気にしないで」
愉快そうに、ゆるり、口元に弧を描いた桜玖さんは、人差し指できりくんをさして、こてん、と首を傾げてみせる。
「桐はね、手ぇはやいよ。あやこみたいなの、あっという間に食われんじゃね」
「………さくにだけは、言われたくないね」
「ん、なず、なんか言った?」
「…首、左横」
ぽそ、となずなさんから呟かれた一言。
くび、ひだりよこ……?
ぼんやりと頭のなかで繰り返した言葉を追うように、桜玖さんに視線を移してみる……と、
「っ!」
うっすらと浮かぶ、充血したようなアト。
……これ、は、いわゆる……!
「なずの観察眼、ほんとえぐいな」
「めずらしい。……さく、そーいうとこ抜かりないのに」
「寝てるとき付けられたっぽい。ひとの寝込み襲うとか、まじでタチわるくね?」
「寝込む前に襲ってるんだから、お前も人のこと言えないよ」
テンポよく繰り広げられる3人の会話。
……どうしよう、ついていけない……!



