友だち……では、なくて、でも、お互いの名前は知っているから、赤の他人でも、ない。
もちろん、恋人とか、そんなあまやかな関係でもない。
『2ヶ月。…その期間だけ、こころの時間をおれに頂戴』
わたしときりくんに、
当てはまる関係性《なまえ》は─────
「期間限定の、同居人、です」
間違ってないよね……?
そういうふうにきりくんを見上げたら、きりくんは微かに目尻をほどいて、わたしの髪に手を滑らせた。
「……そーいうこと」
ほんのりと柔らかい声色が、あってるよ、って言っているように感じて、ほっと息をつく。
「へえ。ドーキョ、……しかも期間限定、ね」
……まわりのひとから見たら、やっぱり、変、なのだろう。
恋愛関係でもないわたしときりくんが、一緒の家に住む理由なんて、ないはずだから。
成り行き、と言えばそうなのかもしれないけど、だからこそ、わたしときりくんは一緒にいることができる。
「なんで、あやこは桐と一緒にいるの?」
こちらを試すように細められた瞳に、目を合わせるだけで精一杯だけど、……この答えは、間違えたくない。



