「………───冬和 薺(とわ なずな)」
名前だけを簡素に告げて、ふたたびフードを被ってしまったなずなさん。
さ、桜玖さんとの温度差がすごい……な。
「ハイ、これで俺らの番は終わった」
すると、桜玖さんに正面からじい、と視線を重ねられるので、おそるおそる口を開いた。
「わたしは、……綾船 こころ、です」
ぺこ、と控えめに頭をさげると、桜玖さんは、んー……とテーブルについた手に顎をのせながら、なにかを考える仕草を浮かべたあと。
「じゃあ、あやふね こころ、略してあやこ」
よろしくあやこー、って、ゆるりと笑いかけてくる。
あやこ……?
若干流されるようにちいさく頷けば、同時にテーブルの下でこつん、と膝をあてられる。反射的に目を合わせれば、こちらを探るように細められた瞳につかまってしまう。
……こういうふとした仕草が、あの夜のきりくんに重なるの。
「あやこと桐って、どーゆー関係かな」
言葉尻に微かなクエスチョンマークを付随させて、問いかけられたセリフ。
''どういう関係''────なんて答えたら、いいだろう。



