「なんか、眩しい、……し、背中いたい」
「あ、起きた。……ってか、おまえ前髪なげぇ。なんも見えねーわ」
「……切るの、だるい。さく、今度おれが寝てるとき、切っといて」
「それは俺がだるい」
どうやら、ずっと寝ていたらしいそのひとは、きりくんにパーカーを外されて、たった今覚醒したらしい。
空気にふれて柔らかく揺れるグレーの髪は、前髪も襟足もながめなマッシュヘア。ひとつ、髪から透けるように覗くブルーのピアスと、首にかけられたヘッドフォン。
そして、パーカーつきのゆるめなスウェットに、細身のカーゴパンツと黒いレザーシューズ。
「(すごく、おしゃれなひと……)」
まるで雑誌のモデルさんみたいな着こなしに、おもわずじっと視線を送ってしまえば、相手もちょうど同じタイミングでこちらを向く。
かち、と、ながい前髪に覆われた瞳と、視線が重なったような気がした。
「……この子、だれ」
「あー…そーいえば、まだ名前聞いてない」
きょと、とちいさく首をかしげる彼に、ゆるりと口角をあげた、……さくさん?は、なにやら、わざとらしくきりくんの方に視線を送る。
きりくんもまた、はあ、とわざとらしくため息を落としたら、わたしの耳元に唇を寄せて、ごめんこころ、と呟いたのだった。



