「……ど、なた、ですか?」
家を間違えてる……?でも、彼の反応は、そういう類いのものではない気がする。
「さあ、どなたでしょーね?」
控えめに視線を合わせながら問いかけると、ふ、と、片方の口角だけを綺麗にあげて、わざとらしく首を傾げてみせる彼。
色香を纏ったその仕草で、ぴん、と張っていた空気が、微かにゆるんだように感じて、強ばっていた表情から力がぬける。
……このひと、だれかに似ている、気がする。
艶のあるブラックに、寒色のブルーが混ざったような髪色。背後から届く日のひかりに反射すると、すこし青みが透けて、おもわず見惚れてしまうような透明感を浮かべている。
甘めな目元を強調するようなアーモンドアイは伏し目がちで、それがときどき試すように細められる。
……昨日から、綺麗なひとしか視界に入れていないような…?
華やかな顔立ちも、髪の隙間からきらりとひかるたくさんのピアスも、纏うすべてが眩しいひと。
────なんて、いまは、それどころではなくて、
「それを、わたしは聞いてます……」
「名乗ってほしいなら、まず自分から、ね」
「……あ、たしかに、そう…、?」



