nonsense magic





数日間、きりくんと過ごしてみてわかったことがある。



『きりくん、髪濡れてるよ』

『あー……ん、ごめん』



きりくんは、自己に対する興味がとても薄いひと。
……体調管理も、あまり上手じゃない。


"無関心"という言葉がぴったりで、見てるこっちがハラハラしてしまう。 
 


『さ、サラダチキン?』

『おれの身体のはんぶんくらいソレでできてる』

『週にどれくらいの頻度で……?』

『あー……10?』

『(毎日サラダチキン……)』



あまりの食への無関心に驚く。朝食は抜いて、昼食と夕食がサラダチキン。掘り下げて話を聞いてみたら、たまに菓子パンとかおにぎり……など、テキトウにコンビニで済ませていたらしい。



『それは、身体こわしちゃうよ……』

『…ね。今回で学んだわ』
 

せめても、と、……きりくんの偏りすぎた栄養を取り戻すために、最近の献立は身体にやさしいメニューを意識するようにしている。





「(……よし、)」


できあがったものを眺めながら、こくり、ちいさく頷いた。

だし醤油で炊いたおにぎりと、昨日の夜に作っておいた里芋の煮物とにんじんのナムル。

わたしもきりくんも朝食は控えめ派なので、量も少なめの薄味で、全体的に胃にやさしいメニュー……のつもり。



あとは、きりくんを起こすだけ────なのだけど、

午前10時10分過ぎ。もうそろそろ起きてきてもいい時間のはず、