「……わたしは、なにをすればいいの?」
この雰囲気に呑まれてしまう前に、ひとつだけ、……どうしても聞きたいこと。
表面上だけの言葉じゃなくて、その奥にかくされた''意図''を。
……そんなことを提案するメリット、きりくんにはないはずなのに。
「きりくんは────」
''きりくんは、わたしになにを望んでるの?''
「こころ」
問いかけようとしたそれは、その、たったひとことで制される。
……声を空気に熔けさせるみたいに、ゆるやかに落としこまれて、意識をまるごと取り込まれるような。
「2ヶ月。……その期間だけ、こころの時間をおれに頂戴」
鼓膜をあまやかに撫でる、上品なテノール。相手を気遣うようなやさしい言葉選び、……と相反するかのように、その中身はあまりにも不透明だ。
……わたしの時間、なんて。
なんで、きりくんがそんなものを欲しがるの?
それに、2ヶ月って……?
あきらかに中途半端な期限設定。…きりくんの言い方からすると、なにか意味があるように思えてしまう。
「き、……っ!」
浮かびあがるハテナを消化しようと、口を開きかけたそのとき。



