nonsense magic




「……なんか、気緩む」


無表情のまま、ぽつりとそうこぼす彼。
……やっぱり、セリフと表情《かお》が合ってないなぁ。


「わたしも、……ゆるむ」

「………、」

「……きりくんにこうしてもらって、安心してる」


ほんとう、変だよ。……きのう、会ったばかりなのに。
だって、このひととわたしのカンケイを表す表現が見つからない。


わたしにとってきりくんは、きりくんにとってわたしは、''他人''なのか、はたまたそれ以外なのか。

─────なんて、そんなことは、もうどうでもいい



「ありがとう、きりくん」


このひとがつくる暗闇に、いま、わたしはすくわれている。

こころのあたため方なんて、もうずっと前から忘れてしまっていたのに。抱いても意味のない感情に、だんだんと冷えていくそれにも、もう諦めていた。

───────のに


ぽつりとあかりが灯るような感覚だった。ぱちぱちと弾けるような淡いひかりが沁みていくような。久しくふれていなかった、優しいぬくもりに、……もうすこしこのままでいたい、……なんて、きゅうに欲ばり自分が顔をだすから、はっとする。


「(冷静になれ、わたし……)」


浮かんだそれらを振り切るみたいに、咄嗟にきりくんの背中ににまわした腕をほどいて、距離をとろうと腰を後ろにひく、……寸前。


「……離れんの?」

「…ええ、と…」

「まだハグ足りてない」

「それ引きずらないで……!」