nonsense magic




さっき、きりくんに言われたばかりなのに……。
かすかな自己嫌悪に襲われながら、ぴたりと動きを止める。


きりくんはゆったりと目を細めながら、わたしの耳にかかった髪を指先ですくう、そしてやさしく絡める。


その真っ白いしなかやかな手に、ぼうっと見惚れてしまったのは一瞬。


「……っ、」


数秒後には、目の前の''彼''に全意識が誘われてしまう。



「……ごめんなさい」


やさしく、咎められた気がした。



「……ほとけのかおも?」

「さんどまで……」

「ん、せーかい」


イコール、……次はない、ってこと。
  

……でも、わたしときりくんに、次、なんてあるのだろうか。
なんて、ぼうっと考えている隙に。


「でもまあ、残念ながら、おれは仏なんかじゃない」

「……うん、もうなめない」

「ん。……じゃあ、これはおれを舐めてたこころに仕返しね」


よわい力で髪を引寄せられて、ぎゅう、と抱きしめられた。
ぽんぽんと心地いいリズムで頭を撫でながら、背中を包みこまれる。伝わるひと特有の温もりに、ほわりと柔い熱がこころを占めていく。


仕返し……って、これが…?

絶妙な力加減で回された片腕も、髪をすべる手のひらも、そんな言葉とは結び付かないほどにやさしくて、おもわず笑みがこぼれた。



「……いまは、拒まなくていいの、?」

「、されんの嫌?」


静かな声で問いかけられてたそれにそっと首を横に振れば、ふ、と仄かな笑みが落とされる。甘やかすみたいに毛先を爪先に絡められながら、ひとつの結論に辿り着いた。


「……きりくんからのハグは、おっけー……?」

「微妙に捉え方違う気がするけど、…まあ、そういうこと?」


きりくんがハテナマークつきの答えをくれるから、そっか、とちいさく頷いて。

おそるおそる、両腕を背中に回して、ぎゅ、と絡めてみる。