「それが本当なら、おれもやさしいことになるけど」
冷めた口調で、吐き捨てるみたいに。
名前のことを話していたときと同じように、ばからしい、とでも言うように、口角だけをあげるのだ。
……やっぱり、掴めないひと。
纏う雰囲気も言動も、ときには口調だって、一貫性がない。噛み合っているように見えた彼の中身はひどく無機質で、……たぶん、きりくんは自分のことが────
「こころはどーおもう?」
─────''きらい''、なんだろう
だって、あまりにも瞳が冷えきっている。それは他人に対しての威嚇に近いようなものにも見えるけど、きりくんの場合は、そうではないような気がする。
自己に対する興味、肯定感、それらが欠けているように見えるのは、わたしがフィルターをかけて彼を見ているからかもしれない。
「……わからない」
わたしから聞いたのに、こんな曖昧な答えしか返せなくてごめんね。
でも、ほんとうにわからないの。
……だって、
「……手がつめたくてやさしいひとなんて、わたし、きりくんしか知らない」
「……、は」
「ひとりだけしか知らないから。……ほんとうかうそか、まだわからない」
ちいさく首を横にふりながら言えば、意味不明だと言わんばかりに眉を潜められる。



