nonsense magic



「だ、けど─────」



''こわい''というわたしの言葉で、もともとゆるい力をかけられていた手首が、完全に彼から解放されたのがわかった。

わたしがすこしでも抵抗すれば、きりくんを押し返すことだって、できる。


「きりくんのこと……すこしだけ怖い、けど、っでも、」


……今度は逆に、わたしがぎゅ、と手のひらに微かな力をこめて、冷たいそれに重ねる。



「きりくんなら、……だいじょうぶ」


わたしはあなたに怯えてない、そうわかってほしくて、わたしから重ねた手のひらを、ゆるく握ってみる。


……昨日までは熱かったのに、ひんやりとつめたい指先。


わたしは平熱は高いほうだから、手のひらも、たぶんひとよりも温かい。


繋がった場所からわたしの熱をわけてあげられれば、……なんて、ばかなことを考えて、そんな自分に呆れてしまった。



「……きりくん、手、つめたい」

「うん。……平熱低いから、おれ」

「手がつめたいひとは、こころはあったかいって。……ほんとうだとおもう?」



瞬間、きりくんの涅色の瞳が試すように細められめる。
一方的に繋がっていた手のひらが宙に浮いたかとおもうと、そのまま唇へと運ばれて、指先に口づけが落とされた。