nonsense magic




「やさしく、する」

「……ふ、うん。やさしくして」


艶っぽい光沢を浮かべる黒髪に温風をあてながら、そっと、片手で髪を梳いていく。


それを何回か繰り返していると、指の隙間をすりぬけていく髪からだんだんと水分が抜けていくのがわかって、男のひとはこんなにはやく乾くんだ……って、少し羨ましくなった。


仕上げに、髪が痛まないように冷風をすこしあてて、最後に櫛で梳かす。

……絡まっているところもないし、だいじょうぶ、なはず。


いちおうの確認のため、指先でそっと髪にふれてみたら。


「きりくん、髪ふわふわ……」


さっきはお風呂上がりで濡れていたからわからなかったけど、いまのきりくんの髪はふわふわの猫っ毛。

ところどころ毛先の方がぴょん、と跳ねていて、それとお人形さんみたいに整ったきりくんの顔を頭のなかで想像してみる────


「……ふふ、」


ほんとうに無意識。

気づいたら手のひらはきりくんの頭のうえで、それをゆっくりとすべらせていた。



「(わ、やわらかい……、)」


周囲の空気にふれてふんわりと揺れる黒髪があまりにも柔らいから、さわり心地を確かめるように何度も撫でててしまう。