「(もう、とっくに手遅れだ)」
……なあ、みっともなく縋ったら、ずっと傍に居てくれる?
そんなセリフを喉の奥で噛み殺しながら、華奢な肩をゆっくりと抱き寄せて、肩口に顔を埋める。何秒の間かそうしていれば、細い指先がおそるおそる背中を辿って、ぎゅ、と控えめな力が込められた。
きりくん、と、やわらかく掠れた語尾で囁いたあと、ほんのりと潤んだ声で告げられたセリフ。
「わたしの、帰る場所になってくれてありがとう」
"あと1ヶ月"
─────その意味を知っているのがおれだけでも、どうか、今だけは。
手を伸ばせば触れられる距離に甘えていたい。不釣り合いなほど麗しくて真っ白な笑顔に、ただ見惚れていたかった。



