傍にいない未来を想像するだけで、簡単にだめになる自分が心底情けないのに、この狂った恋情だけが手放せない。
鼻先が触れ合うほどの至近距離で、透き通るような虹彩を見つめる。宝石のような艶やかなそれは、ずっと黙ったままでいるおれを不思議そうに見つめて、数秒後、きりくん、とやわらかな声音で紡がれる。
「離れないよ。……だいじょうぶだよ、きりくん」
ぎゅっと抱きしめられて、は、と息が止まる。背中を宥めるように撫でてくる手のひらを追いかけるように腕を伸ばせば、背中に回っていた手のひらが頬に添えられて、丁寧に持ち上げられて、くちびるが重なった。
やわらかい感触が触れて、離れて、もう一度重なる。癒すように、慈しむように、やさしい熱を灯そうとしているかのような行為に、そんなふうに触れるなよ、と思う。
躊躇なく綺麗な指先で蜜を垂らしこんで、ぐちゃりと膿んだ傷さえも丁寧に塞ごうとしてくれる彼女が、……あまりにも眩くて、その温度差が憎らしくて、どうしようもなく愛おしい。



