「、こころ」
「なあに?」
「……おまえは、おれなんかと比べものになんないくらいやさしーの。だから、1日100個くらいわがまま言ってもいいよ」
「……ひゃっこ?それはサービスしすぎだよ」
─────────その100個でおまえが傍にいてくれるなら、なんでも言うこと聞くし、願いも叶えるよ
一生伝えることができない感情を、心の中でひとつずつ全部噛み砕いて、吐き出して、なかったことにする。無心で繰り返せばいつかは昇華されると思っていたのに、そう上手くはいかないからこれは面倒臭い。
「………そんなこと言って、わたしが調子のっちゃっても知らない、よ」
「(いくらでも乗ればいい)」
「あ、でも、きりくんとしたいことは、けっこういっぱいある……かも」
「例えば、なに」
「まず、きりくんに貰ったワンピースを着て、お出かけしてみたい。この前選んでもらったから、もしきりくんが嫌じゃなければ、つぎはきりくんの洋服一緒に見てみたいなあって思ってたの。……だから、さっききりくんが誘ってくれたとき、すごくうれしかった」
……そうやって、ほんとうにうれしそうに、幸せそうに笑うから、だめだ。
唐突に触れたくなって、重ねた指先を強引に絡めとれば、艶っぽくゆるんだ瞳に囚われたままよわい力で握り返されて、微笑まれて、しんどくなる。



