nonsense magic




おれの言葉にむっとした表情を作ったこころは、きりくんだってわがままだよ、と拗ねたように頬を突いてくる。そこに関しては流石に自覚がある、……が、恐らく改善の余地はない。 


ごめん、と我ながら薄っぺらい謝罪を口にすれば、こころは呆れたように笑ったあと、穏やかな表情のまま目を伏せる。


 
「きりくんがやさしいからだよ」

「、」

「いつもわたしのワガママ聞いてくれるから、わたしもきりくんのお願いは、できるだけ聞いてあげたくなるの」



眉を垂れ下げて、照れたような表情ではにかむ。短く切り揃えられた爪先がそっと肌の表面を伝う。


頬をすべる指先は柔らかな体温で満ちていて、触れられているとひどく心地がいい。

 


「(…………違う)」



お前がおれに委ねる"わがまま"と、――――――おれがお前に向ける"お願い"は、原型もわからないくらいにぐちゃぐちゃに歪んでいる。熱量も、質量も、孕む温度だって、何もかも別物で、絶対に釣り合いなんて取れていない。



「……きりくん?」


──────……勝手にお前に執着しているのは、おれの方だから。



そう、素直に口に出してたとしても、多分彼女には伝わらない。真っ白で無垢で、なにも知らないこころを利用して、中途半端に貪っているのは、紛れもなく自分自身だ。