nonsense magic





「ん、開けてたらだめ?」

「……ふつうは、目は開けながら、き、キスするの……?」

「、まあ、それは人によるんじゃん」  



目の縁を撫でながら瞼に口付けを落としていれば、こころはまた恥ずかしそうに目を瞑ると、そういうものなんだ、とぽそぽそと呟く。


流れるようにゆったりとした仕草で瞬きを落とすと、抵抗をやめたのか控えめに背中を預けてくるから、なんとなく腕の中に閉じ込めてみる。




ふわりと顔をあげたこころは、自分の胸の前に回された腕に視線を溶かしたあと、順番をなぞるように瞳を持ち上げて、視界の真ん中におれを映す。



「わたしも、ぎゅってしてもいい、?」   



…………ほら、途端、これ。



お前、どんだけハグされるの好きなの。
そう問いかけてしまいたいくらいには、こんな簡単な動作ひとつで簡単に表情をゆるませて、ふわふわうれしそうにする。呆気なく毒気を抜かれそうになるのはいつもおれの方。



どーぞ、と頷けば、微かに表情を和ませたこころはおれの腕の上にそっと両方の手のひらを重ねると、控えめな弱さで言葉通りぎゅっと肌を寄せてくる。



「…………目開けるときは、あける、って言ってほしい」

「ふ、また申告制?」

「あ、でも、きりくんに見られてるって思うのも、恥ずかしくてやだな……」

「わがまま。どっちだよ」