「……きりくんは、っなんで、そんなに普通でいられるの……?」
振り返ったはずみに、ぽろりと頬を滑り落ちる雫。赤くなった瞳を覆う透明な膜はいまにも崩壊しそうにゆらゆらと揺れる。
「、普通?」
「……わ、わたしなんて、恥ずかしすぎて涙止まらないのに、きりくんだけ……っ」
睫毛をやわらかく震わせて、きゅっとくちびるを引き結んだら、熟れた頬を両方の手のひらで包みながら、もうやだ、と濡れた声で紡がれる。
───────眩暈がした。
潤んだ瞳に絡めとられて、ぐちゃりと心臓を捻り潰される感覚。甘ったるく膿んだ傷を、泣き顔ひとつで無理やり開いてくるお前の方が、…………何倍もタチが悪いよ。
「、んんっ、」
抵抗できないように頭の裏に手を差し込んで固定すると、黒目がちな瞳が大きく見開かれる。ぽたり、瞳から溢れる雫が水面に溶けていくのを横目で見ながら柔い感触を奪う。



