頭の後ろに回った手のひらにポニーテールの後毛をくしゃりと撫でられて、また肩が跳ねる。そのままふわりと抱き寄せられて、……みだれた呼吸を深呼吸で落ち着かせている私は、抵抗する隙もなくきりくんの腕の中に収まっていた。
「……きりくん?」
そして前髪を整えるように指先で梳かれて、目元にかかっていた毛先が横に流される。擽ったい感触に目をひそめれば、ふ、と頬のあたりに吐息がかかる。
ゆるやかな熱が篭ったそれに、私も同じなんだろうな……なんてぼんやりと思っていれば。
「……ね」
鎖骨に頭を押し当てられて、上目がちに捕らえられる。ゆるりと穏やかな熱が灯った瞳には真っ直ぐとした視線が込められていて、声のトーンは比較的やわらかい。
なに、と首を傾げれば、やさしい色が虹彩を波打ったような気がした。
「今度、どっか行こ」
からかうように微笑むと、ゆるりと垂れ下がる目尻。……きりくんがあまりにも綺麗に笑うから、ほんの一瞬息の仕方を忘れてしまう。



