「……きりくん、あの、ほんとうに?」
「ん、一緒に入る」
「、……お風呂は、ひとりで入るものだよ」
フロアタイルの床にやさしく下ろされる。きりくんは目線をわたしの瞳に合わせるように屈むから、……思わず後ずされば、背中が扉にぴったりとくっついた。
さっきから、向けられる視線がやけに甘ったるくて、心臓がそわそわする。湿度の高い瞳がゆるりと細められると、口元も同じように弧を描く。
すると、不意に腕が伸ばされて、……半ば反射神経のようなものでぎゅっと目を瞑るけど、思ったような感覚は襲ってこない。
「……っ、?」
わたしの腰あたりで止まった指先。ワンピースのレースを丁寧になぞると、そのままきゅ、と裾を引いて、くいくいと表面を摘まんでくる。
「、なんでこの格好で桜玖のとこ行ったの」
「……え?」
「おれがこころに選んだ服でしょ。……何で、よりによって桜玖に会いに行く時に着んの」
微かに吊り上がった目尻と、瞳に滲む低い温度。じわりと不機嫌が滲む眼差しを向けられて、きりくんの脈絡のないセリフにきょとんとする。



