「おれ今両手塞がってるから、こころが開けてよ」
「、きりくん熱ある?こんなことしてたら悪化するよ、はやく寝室戻ったほうが……」
明らかに様子がおかしいきりくんは、絶対に熱があるに違いない……と、ぴとりときりくんの額に手のひらを当ててみるけど、とくべつ熱いこともない。
どうにかきりくんに落ち着いてもらおうと、そっと労うような瞳で見つめながら、しなやかな輪郭に沿うように頬を撫でていると、――――――かぷり、不意に指先に噛みつかれて、やわく歯を立てられる。
「?!……ぅ、っ、」
「………」
「("開けろ"の無言の圧が、すごい……)」
指のはらに押し当てられた、生ぬるいもの。ちらりと覗く艶やかな赤それが皮膚をなぞって、噛まれた場所には独特の跡が刻み込まれていく。
……そういう過程を至近距離で見つめているという事実に耐えられない、もう、羞恥の限界で、気づいたら扉を開けてしまっていた。
そんなわたしに、「いいこ」と安心させるみたいなまあるい声で囁いて、身体を引き寄せるように抱きよせてくるきりくんが、何を考えているのかひとつも分からない。



