薄い膜に覆われた濡羽色が窓から差す光を綺麗に反射してみせると、とろん、と瞳に艶めきが溶けていく。
……そんな過程ひとつも、思わず見惚れてしまうくらいに優艶で、恐ろしい。
「でも、まだ足りねーな」
─────"危機感"
同時に、ふわっと身体が宙に浮く。背中に片腕を回したまま、両膝に手のひらを差し込まれて、空中でぐっと引き寄せられた距離に、絡まった思考回路が追いつかない。
……え、もちあげられてる、なんで?
咄嗟にきりくんの首元に絡めた両腕。ぎゅっと、わたしがきりくんにしがみつくような体勢のまま歩みを進めて、寝室のドアを抜けていく。
最初はぽかんとしていたけれど、きりくんの奇行を時間差で理解したわたしは、きりくん、と戸惑ったようにきりくんの名前を呼んでみるけど、歩みは一向に止まらない。



