「さく、はやくお茶………喉かわいた」
「、〜重え。背中に寄っかかるな大男」
のそのそとソファーから出てきたなずなさんは、初めて会ったときと同じように桜玖さんの背中に体重をかけると、ぐりぐりとパーカーのフードを押しつけて、はやく、と紅茶の催促をしている。
「(なかよし……)」
なずなさんの仕草は、可動域みたいなものが小さくて、控えめで、少動物みたい。
じー、と横から観察するように視線を向ければ、すぐに重なるそれ。なに?と言わんばかりに小さく首を傾げるなずなさんは、他人の行動に敏感なんだと思う。
「なずなさんは、なんの紅茶がすきなんですか?」
「……んー、と、なんか、甘いやつ。冷たい牛乳が入ってる」
「え、と、アイスミルクティーですか……?」
「、たぶん、それ」
「なずの場合は、ふつうのミルクティーに砂糖大さじ2な〜……前一口味見したらげろ甘だった」
うわさいあく思い出した、と顔を顰める桜玖さんは、昔から甘いものが苦手らしい。そんな桜玖さんが言うには、なずなさんの舌はこわれているらしい。
「つーか、なず。——————……俺にだる絡みしてないで、お客サマに"オモテナシ"は?」
振り向き様にゆったりと微笑んで、緩やかな瞳で射抜く。そんな仕草ひとつ切り取っても綺麗で、……紅茶を淹れている姿と相まって、さながら上品な貴族のよう。



