nonsense magic





「ふかふか……」

「だろ?いっかい座ったら離れられねーの。立つのもめんどくなって、何もする気が起きなくなる。んで、その末路がなず」



こいつ、まじで意地でもここから動かねーもん、と桜玖さんが鼻で笑うと、すかさずなずなさんの反撃(肘打ち)が決まり、さらに深くソファが軋んだ。



「(…………、)」



桜玖さん、手、握ったまま。
いつの間にか、自然と馴染んだ体温に視線を落とすけど、桜玖さんは気づかない。


女のひとと触れあうことに慣れている桜玖さんだから、これが彼にとっての"普通"なのだろう、……と。自分のなかで結論を導くと、今さら指摘する方が自意識過剰な気がした。



「、ん?どした?」

「……あ、いえ。ほんとう、触り心地のいいソファーだなって」
 


思考回路を誤魔化すように口角をあげれば、さっきまでの柔らかい表情から一変、桜玖さんの桃花眼がゆるりと細まり、ふ、と、目尻が垂れ下がって。



「、……!」



瞳に溶けた眼差しが、突然に色香を纏う。