nonsense magic




「なんですか……?」

「あやこもこっちおいで」

「、はい(こっちって、どっち?)」



ゆるりと手を引かれるまま、ソファーの前に回り込む。ほら、ここ、と、顎で隣を指されて、目を丸くしてしまう。


どうすれば、と、なずなさんに視線を送ってみるけど、もちろん交わらない。終いには、諦めなと言わんばかりに小さく首を振られて、さいごの打つ手が消えてしまう。



「っ、ゎ、」


ぐいっ、と、
動かないわたしに痺れを切らしたように手を引かれて、捕らえられた手のひらに温度が乗せられる。



「はは、あやこ固まりすぎ。身体かちこち」

「……さくは強引すぎ」

「え〜……そ?ごめんあやこ」

「……いえ。平気です」



あまり気持ちが込められていないような謝罪は、とても桜玖さんらしい。 大丈夫ですという意味を込めて首を横に振れば、桜玖さんはゆるりと口角を上げたまま、繋がった方の指先の先端をきゅっと掴んで、体重を後ろへと誘導する。



ぼふ、と、背中を包み込むやわらかい手触りと、沈み込んだ分持ち上げられる不思議な感触に、強ばっていた肩の力が和らいでいくのを感じるのと同時、その反発性の高さに驚く。



……ロゴを見た時から思っていたけど、これは、ぜったいに、高級な品物。