そうして、5003、慣れない数字を打ち込むと、ピー……という機械音が鼓膜を擽る。なんとなく緊張してしまってちいさく俯いた、数秒後。
「――――――いらっしゃい。オジョーサン」
ひどくあまったるい低音のあと、ふっと空気が楽しげに揺れる。作りものみたいに綺麗で華やかな彼が、画面越しに薄く笑っているような気がした。
▽
「……おじゃまします」
ガラス張りのエレベーターに揺られること、1分ほど。ホコリひとつ落ちていない廊下はあまりにも静かで、ほんとうにひとが住んでいるのか、なんてばかなことを疑ってしまった。
ものすごく、クーラーの効いた部屋。あまりの外との温度差におもわず腕をさすったら、これ羽織る?……とカーディガンを差し出してくれる――――――……桜玖さん。
「……あの、でも、これ桜玖さんの、」
「そ。だから着ていーよ」
にこりと感じの良さそうな笑みを口元に浮かべた桜玖さんが、わたしの肩にふわりとカーディガンをかける。



