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「……ここ、?」
首が痛くなるくらい、ほぼ直角の角度で空を見上げれば、果てしない高さの建物がちっぽけな自分を見据えている。
画面に映された住所と何度もすり合わせてみるけれど、何度見ても、やっぱりここで合っている。
繁華街の奥に位置するタワーマンション。全面ガラス張りのエントランス、洗練された光沢を映す大理石の床に囲まれているからか、室内を澄んだ空気を纏っているようにも見える。
【××パークシティ 5003】
……先日、突然送られてきたメッセージ。連絡先を交換した覚えもないのに、なんでだろう、と不思議に思っていたけれど。
きっと、わたしと共通の知人である"彼"が教えたんだろう、という結論に辿り着いたのが、数時間前のこと。
場違いなことは100も承知だけれど、……こんな入口の手前でウロウロしていたら不審者と間違われてしまうかもしれないし、待ち合わせの時間にも遅れてしまう。
「(……よし、)」
じんわりと額に浮かぶ汗をハンカチでぬぐったら、おぼつかない足取りでエントランスの扉をくぐる。
瞬間、ひんやりとした空気が熱の篭った身体に纏わりつく。ぱたぱたと手で仰ぐだけで、さっきまでの暑さが嘘のように引いていくから、おもわず口元がゆるんだ。



