nonsense magic





「でも、今の結構、キた」   



細く長い睫毛が頬に影を落としたら、ふ、と愉悦を溶かした瞳をゆるりと細める。流れるように白くしなやかな指先が感触を確かめるように頰をなぞるから、なんとなく視線を迷わせてしまう。



………こういう雰囲気のきりくんは、すこし、こわい。

 

妖艶な手つきとは裏腹に、すり、とやさしく耳の縁を撫でたら、ふわりと鼓膜を揺らすそうに吐息がかかる。舌先が耳朶をなぞってちいさなリップノイズを落としたら、艶に塗れた甘ったるい声で注がれる。


 
────"はやく、おまえのこと頂戴"




わたしは、もう、とっくに、このひとに全部あげたつもりでいた。
………深く侵食する熱に、もう、なにもかも奪われてしまっているのに。