貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

「ぐす……! ううぅぅ~っ」

「わぁあぁん、お母さん……!」


部屋の扉がわずかに開いていた。
そこからシルバーグレーの髪が覗いていたが、ディアンヌとピーターは抱き合いながら泣いていたため気づくことはない。

いつの間にかディアンヌの激しい泣きっぷりを見て、自然とピーターの涙が止まってしまう。
涙でぼやけて見えないが、ピーターがこちらを見ている。
そしてピーターはキョロキョロと辺りを見回してテーブルに置いてあったナプキンをとると、ディアンヌの涙を拭ってくれた。


「ディアンヌ、泣きすぎだよ」

「らってぇ……! うえぇっ」

「……はは、変な顔」


ピーターは笑みを浮かべながらも真っ赤になった目からは、次々と涙が流れていく。
そんな姿を見ていると、ますます泣くのを止められない。
ピーターに促されるようにしてディアンヌは席へと戻る。
もはやどちらが子どもなのかわからない。
ディアンヌは肩を揺らしながら、ビシャビシャになりつつあるナプキンで目元を押さえていた。

泣き止んだピーターは、パンやスープと料理を口に運んでいく。
やっと涙が落ち着いてきたディアンヌが鼻を啜っていると、ピーターの元気な声が聞こえた。