貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

あれだけのことをしておいて、こうして普通に話しかけてくるシャーリーの神経がわからなかった。
シャーリーはディアンヌの周りにいる夫人たちに値踏みされるような視線を送られて、引き攣った表情だ。

夫人たちにカシス伯爵家の宝石をつけている人は誰もいない。
ディアンヌは夫人たちと共に話していたが、シャーリーは引くつもりはないようだ。

そしてここで何かを察した夫人の一人が、あることをディアンヌに耳打ちしてくれた。
ディアンヌが頷いてからお礼を言う。
これが、社交界で渡り合ってきた夫人たちの知恵なのだろうか。

そのままシャーリーの横を通り過ぎて歩いていく。


「──待ちなさいよっ!」


待っていましたと言わんばかりに、シャーリーがディアンヌの目の前に立ち塞がろうとする。
しかしどこで見ていたのか、リュドヴィックがディアンヌを庇うように前に出る。
リュドヴィックに睨まれたシャーリーは勢いに押されたのか、唇を噛み締めつつ一歩後ろに下がった。
いつの間にかやってきたピーターも何かを感じたのだろうか。
ディアンヌを守るように片腕を上げる。

まるで騎士のようなピーターの行動にディアンヌは感動していた。