貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

馬車が止まり、御者が扉を開く。
リュドヴィックとピーターが先に降りて、ディアンヌをエスコートするように両側から手を伸ばす。
頼もしい二人がいてくれる。それだけで強くなれるような気がした。
ディアンヌは二人の手を握り返して、馬車のステップを降りていく。
小さな手と大きな手、ぬくもりに幸せを感じていた。

二人を交互に見つめつつ、ディアンヌは足を進めていく。
ヒールがある靴はここ三カ月で随分と履き慣れたような気がした。
リュドヴィックが低めで歩きやすいものを用意してくれたので、もう転ぶこともないだろう。
背筋をピンと伸ばして歩き方ひとつとっても、細部まで意識するようになった。
ディアンヌは今まで習ったことすべてを活かせるように気をつけている。

周囲からの視線を感じてはいたものの、ディアンヌは気にすることなく胸を張って堂々と歩いていく。

(たった三カ月しか学んでないけれど、ピーターとリュドヴィック様のために……ベルトルテ公爵のためにできることをしましょう)

貴族たちは予想外だったのだろうか。
色々と言われることは覚悟していたが、視線を感じるだけで悪く言われている様子はない。
今のところ、うまくいっているようだ。
ふと、リュドヴィックと視線が絡む。
にこやかに微笑むリュドヴィックに周囲が騒めいている。
社交界で様々な噂や憶測が飛び交う中、全てを払拭するには十分だっただろう。