「突然、ごめんなさいね。どうしてもあなたとピーターに会いたくて……」
「わたしに、ですか?」
「えぇ、お礼を言いたかったの」
どうやら夫人は講師たちから、ディアンヌやピーターはの話を聞いていたそうだ。
「リュドヴィックとピーターのこと、本当にありがとう」
「え……?」
「あの人もわたくしも、あなたが嫁いできてくれてよかったと思っているの」
そう言うと、夫人はディアンヌの手を握る。
夫人の手のひらは微かに震えていた。
「わたくしたちは、あの子に何もしてあげられなかったわ」
「……」
「それどころか……っ、ごめんなさいね」
夫人の目からはポタポタと涙がこぼれ落ちる。
ディアンヌはハンカチを出して、彼女の目元を拭う。
詳細を知らないディアンヌには何も言えないが、後悔がひしひしと伝わってくる。
お礼を言った夫人は「今度、ゆっくりと話しましょう」と声を掛けてくれた。
前公爵と夫人をリュドヴィックと共に見送る。
するとリュドヴィックは右手で額を押さえながら俯いていた。



