貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

すると、ララは反射的に体を引いてしまう。
じんわりと額に滲んだ汗のせいで髪が額に張り付いている。
ディアンヌはカトリーヌの殺意のこもった視線と共に、いつも縋るような視線を感じていた。


「ララ……何か理由があるなら、わたしが力になるわ」

「──ッ!」

「よければ、わたしに話してみない?」


ディアンヌの言葉にララの瞳が左右に揺れ動く。
明らかに動揺しているように見えた。


「今なら二人きりよ。理由を話してちょうだい」

「ワタシはっ、あなたにナイフを向けているのよ!?」

「でも、あなたがしたくてしているわけじゃないでしょう?」

「……っ」


ディアンヌの問いかけに、ララがわずかに頷いたような気がした。
それと同時にララの目からはとめどなく涙が流れていく。
カタカタと震えている手のひらからはポロリとナイフが落ちて、カランカランと音を立てた。
そのまま顔を両手で覆ってしまったララのそばへ。
震える体の背を撫でると何度も「ごめんなさい」と、呟いている声が聞こえた。


「うぅ……っ、ごめん、なさっ……!」

「ララ……どうしてこんなことをしたのか、わたしに話してくれる?」