「今更なのですが、リュドヴィック様やベルトルテ公爵家のことを何も知らないので……折角、家族になったのですから色々と知れたらと思いまして……」
「……家族、か」
ディアンヌがそう言って笑うと、リュドヴィックはそう呟いた。
前世でも今世でも家族が支え合うことが当然だったディアンヌ。
だが、何も口にしないリュドヴィックの様子を見て、余計なことだったかもと反省していた。
遠くの方では三つ子とピーターたちが芝生の上を転がりながら遊んでいる姿が見えた。
ロアンは息絶え絶えになっている。
(そろそろ飲み物やクッキーを持っていかないとね)
ディアンヌがそう思っていると、リュドヴィックは思わぬことを口にする。
「私は、あまり家族と共に過ごした記憶はない」
「え……?」
「ベルトルテ公爵家に恥じないように、それだけを考えて生きてきた」
こうしてリュドヴィックが自分のことを話してくれたのは、はじめてのことではないだろうか。
ディアンヌは黙ってリュドヴィックの話に耳を傾ける。
「姉上はそんな公爵家に抗っていた。彼女は温かい人だったが、私は家族の良さがわからない」
「……」
「だからピーターが求めていることを、私が与えることはできないんだと思う」



