貧乏令嬢のポジティブすぎる契約結婚〜継母としてもがんばります!〜

「君のような女性は初めて見た」

「……え?」

「ありがとう……そう言ってもらえて嬉しい」


髪を掻き上げつつも口角を上げて笑うリュドヴィックにディアンヌはキュンとしてしまう。

(リュドヴィック様、圧倒的に顔がいい……!)

アイドルを間近で見ているような高揚感にドキドキする胸を押さえた。
再び、二人の間に沈黙が流れる。
ディアンヌは何を話したらいいかわからずに、ソワソワしていた。
何故ならリュドヴィックと一緒に過ごした時間はまだ僅かしかないからだ。

(わたしは、まだリュドヴィック様のことを何も知らないものね……)

意を決してリュドヴィックに話しかけようとした時だった。
急に肩に感じる重み。
ディアンヌが少しだけ視線をずらすと、リュドヴィックのシルバーグレーの髪が見えたような気がした。
肌に触れる髪がくすぐったい。
次第にズンと肩に重みを感じていき、静かな寝息が聞こえてくる。

(ま、まさか……! リュドヴィック様は寝てる?)

隙がない雰囲気だったリュドヴィックだが、ディアンヌの隣で眠っていることに驚いていた。
紅茶のおかわりを持ってきたマリアに助けて欲しいと視線を送る。
リュドヴィックを起こしてはいけないと静かにアピールする。
しかしマリアは嬉しそうに口元を押さえると、にこやかに笑いながら去っていってしまった。

(マリア、どうして……!?)

隣にチラリと視線を送ると端正な顔立ちが見える。
ドキドキする心臓を押さえつつ、ディアンヌはリュドヴィックが目を覚ますのを待っていた。
窓から差し込む温かい光と満腹になり、紅茶で体が温まったこともあって、ディアンヌも眠気が襲う。
リュドヴィックに寄りかかるようにしてディアンヌを目を閉じた。

(あたたかい……)

隣から感じる温もり。幸せな気持ちのままディアンヌは目を閉じた。