「マリー何度も言うようだけど駄目だって言われていることを非常事態とはいえしてはいけないことくらいあなたならわかるわよね?」

「はい・・・・」

「属性も魔力量もわからない子供が魔法を使うことがどれほど危険なことか・・・・今日調べてもらうから使っていいとは思うけれど」

あれから数か月月日が経ち教会で魔力属性と魔力量を調べる日がとうとうやってきた
あの日非常事態とはいえ治癒魔法を使ってしまったあたしはライラさんは勿論孤児院のシスターにも散々怒られた
見習いのお針子さんであるアニーさんも傷がすっかり治りイザベラ様の工房で元気に働いている
アニーさんにとっても感謝され時々遊びに行くとお手製のお菓子をごちそうになったりしてみんな和気あいあいと作業をしている
でもアニーさんの養父がまた来ないとも限らないので裏口にはかなり頑丈な鍵を付けたんだとか大丈夫かなあ

「ミラさん今日はこの国の7歳の子が全員来るんですか」

「今日は最終日だから平民だけよ貴族は最初の数日で全てやってしまうから今日は原則平民だけ、まあ貴族でも個人の都合で最終日に測定してもらう人もいるけどね」

「個人の都合・・・・・?」

「ほら家の都合とか本人の体調が悪いとか?まあ理由は様々ね」

「そうなんですねえ・・・・」

「はらここに並んで!!今日は最終日だから結構並んでるわねえ」

「き・・・・緊張します!!」

「大丈夫よリラックスして!!首輪も外れたんだしマリーならいい結果が出るわ」

ミラさんの言葉に頷くと長い列を作っている列の終わりに並んだ
実は数日前ライラさんのところでお試しで測定してもらっているのだ
結果は闇属性以外すべての属性を持っていることが判明したこんなことは平民ではないことらしい
ライラさん曰くあたしの両親はもしかしたら貴族なのではないかと言われかなり困惑してしまった

「闇以外全ての属性を持っているとなると教会側で調査の対象になる可能性がある」

「へ・・・・・?」

「お前さん自由が無くなるよ」

ライラさんにそんなことを言われて慌てたあたしは急遽隠ぺいのスキルを学び土と水の属性以外は全て隠した
なんと聖魔法も使えるあたしはこのままだと完全に教会の管理下に置かれて自由な行動が出来なくなるらしい
そんなことは嫌なので必死に隠蔽魔法を覚えたこの教会の中に入ると綺麗なステンドグラスが目の前にあってそれを見るだけでも来たかいがある、赤や緑様々な色のステンドグラスは太陽の光を受けて眩いくらい光り輝いていた
ステンドグラスに見とれているとあたしの順番がきたようだ目の前の白いひげのおじいさんが微笑むと少し緊張がほぐれたような気がした

「さあ、この水晶に手をかざしてみなさい」

「は、はい・・・・・」

瞬間ライラさんに教わった隠ぺいの魔法を使う
集中してやらないとばれる恐れがある為いつもよりかなり集中して水晶にそっと手を置いた

「土と水の属性がある・・・・・だが魔力量がかなりあるなこれは平民では珍しい」

魔法省の人なのだろうあたしの顔を見ながら傍らに置いてある魔法学校のパンフレットを手に取るとあたしに差し出した

「平民でも魔力量の多いものは魔法学校に通えるただし簡単な読み書きの試験があるそれに合格すれば学費免除で通える」

「え?ほ・・・・・本当ですか?」

「ああ、だから頑張りなさい詳しいことはこの冊子に書いてある」

「マリーよかったわね!!すごいわ」

「ありがとうございます!!」

「本当によかったわ!ねえ喉も乾いたし果実水でも飲む?あたしがごちそうするわ」

「え?いいんですか?」

「ふふっお祝いよ!みんなには内緒よ教会の裏庭にベンチがあるからそこで待ってて今急いで買ってくるわ」

あたしはミラさんの言葉に頷くと裏庭に向かって走り出す、すると木の陰から誰かが飛び出してきた
肩がおもいっきりぶつかって身体がよろめくと顔を上げた瞬間息を呑んだ
似てる・・・・・・あれ?似てるよね?あたしにそっくり・・・・まるで

「ご、ごめん!!って・・・・・あ?」

あたしと同い年位の男の子がそう呟いたまま固まっている
多分あたしと同じことを思っているのだろう彼はあたしが言葉を無くしているとぽつりと言った

「君・・・・誰?」

「へ・・・・・・?」

「なんで同じ?」

(同じって何?あたしだって聞きたいよなんでこんなに・・・・?)

「顔・・・・・似てるよね?なんで?」

彼に問いかけられ頭が真っ白になっていると誰かの気配がした