千穂と別れてから1日がたった。
知らない景色、見たこともない場所、見たこともないもの。
何駅も超えた後に迎えたのは、私の知らないものばかりで溢れていた。
とりあえず、遠くに行きたかった私は終電まで乗り、終電駅で降りた。
時間帯は夜の11時。
もう外は真っ暗で高校生の私が出歩いていい時間じゃなかった。
その日は、近くにあったベンチに腰を掛け、持ってきた毛布に包まって寝た。
朝まで寝ると、変な人になってしまうので誰も出歩かない、朝の4時に起きた。
そこから、近くにあった飲食店に足を運び、今に至る。
今は、午前7時30分。
そろそろ学生たちがあふれ出てくる時間だ。
何時間も居座るのはさすがに迷惑だと思ったので、2時間ごとに店を変えている。
ずっと頭に浮かぶのは、
【これからどうしよう】
だった。
旅に出た目的は父が返ってくるからだ。
それ以上に何もない。
特に何も考えることもなく、ただ歩いたり電車に乗ったり。
ただ時間が過ぎていくだけだった。
あれこれ考えているうちに、夜の7時を回っていた。
急いで近くのホテルや猫カフェなどを探したが、
さすがにここもそこまで都会だったわかじゃなく、そんなものはなかった。
近くにあった公園によって、そこのベンチに腰を掛けた。
とりあいずここで色々探すか、
そう思ってスマホを触っていたが気づいたら寝てしまっていた。
「い…おい……」
何かが聞こえる。
「…おいっ!!起きろ。」
そこではっと目が覚める。
今は何時だ………誰?
懐中電灯を当てられ、相手が逆光になっているので姿が確認できない。
「君、こんなところにこんな時間で何をしている?」
その質問で分かった。
………警察だ。
逃げなければ。
「すみません。公園でスマホ触っていたら寝ちゃって…すぐ帰りますね。」
まぁ嘘はついていない。
「………そうか。」
警察も状況で察したのか、何もしてこない。
「では………。」
「君の家はどこですか?こんな時間です。送っていきます。」
しゃべり口調が変わった。
気持ち悪い。
というか、今は何時なんだろう。
………1時30分。
警察も大変だな。
「いえ………ここから近いので大丈夫です。」
「そういうわけにもいきません。両親が心配しているかもしれませんし。」
「は?」
しまった。
声が漏れてしまった。
「……何か問題でも?」
目つきが変わり気迫がある。
やはり警察は手ごわい。
「…すみません。親、いませんので。そんな心配なさらないで大丈夫です」
もう、早くどっか行ってくれ。
「そうですか。それは失礼しました。」
「では…」
今ならいけると思って帰ろうとしたが、
そうはいかず私の声にかぶせて言ってきた。
「ですが、この時間帯に未成年を出歩かすことはできません。」
【未成年】つくづくこの言葉がキライになりそうだ。
「住所を教えてください。同行します。」
住所を教えてしまうと、さっき言った言葉が嘘になる。
そのうえ、父に連絡がいったりするのも面倒だ。
リュックを背負い、全力で逃げた。
「おいっ!!待てっ!!」
…速い。
中学生のころ陸上部だったので足はそれほどなまっていないが、さすがに追いつかれそうだ。
「おい…こら!」
追いつかれる…!
そう思った瞬間。
「あ~!!いた!ミク!」
…誰やねん。
「え…だ……むぐ」
口を塞がれた。
「すみません警察の人。うちの妹が。
こいつ夜中に出歩くのハマってるみたいで、
今日はさすがに遅かったんで探してたんす!」
わんこみたいな男子だ。
「…君の兄なのか?」
急に現れても信じがたいのだろう。
私だってそうだ。
誰だよこいつ。
まぁ私を助けようとしてくれているのなら助かるから話を合わせる。
「はい。」
「ったく。ミク。警察に迷惑かけんなって言ったよな?
兄ちゃん家で一人だから寂しいんだぞ」
なぜか親がいない設定がかみ合った。
「ごめん。たかしお兄ちゃん。公園で寝落ちしてた。」
一応、私も適当に名前を付けておこう。
「おまっ…すっごい才能だな⁉そんな奴いんの⁉」
「目の前に、」
「マジか…お前。ってあ。すみません。警察さん。」
「いえ…申し訳ないのですが、本名を一人ずつ教えていただけますか?」
…ここまでめんどくさい警察官いるのだろうか。
なぜそこまで疑うのかが分からない。
断ればもっと怪しまれるのでイチかバチか一人ずつ答えた。
「…同じですね。では、気を付けておかえりくだい。」
…………え?
なんであってんの?
怖いんだけど。
私は、有名な名前『田中』と書いた。
嘘でしょ…
っと…その前に、お礼言わなきゃだ。
「あの…」
「お前さ、田中って書いたんか?」
「え?はイ」
びっくりして声が裏返ってしまった。
「マジか!すっげぇ偶然だな⁉いや、運命か?」
「あ、名乗ってなかったな。俺、朝陽。
鈴良 朝陽(すずらあさひ)。よろしくな。」
「え…え…あ、えっと。」
嵐が去るように話が進んでいき頭が追い付かない。
「あ、私、向葵っていう…の?」
「なんで疑問形なんだよ。」
「ごめんなさい…?」
「いや、別に謝って欲しいわけじゃないよ。」
なんか…疲れた。
「さっきは災難だったな。何してたんだ?」
デリカシーというものを知らないのか?
助けてもらった身で思うのもアレだけど。
「あっ別に無理に答えてほしいわけじゃないから安心しろ!」
「……それともため口が嫌だった…です?すみません。年齢聞いてもよろしいでしょうか」
「ぶっ…あは…w」
「えっ…」
変な奴…。
おかしくて笑ってしまう。
「ちょ、ちょ、何で笑ってんの⁉…でしょうか⁈」
本当に変な奴だよ。
…変…なんか頭がボーっとしてきた。
おかしいな。
くらくらする。
あ、朝から何も食べてないや。
店に入って……水飲んで、オレンジジュース一杯飲んだだけ。
意識がもうろうしてき、倒れそうになったけど、朝陽が支えてくれた。
「えっ、ちょっと待って。何。大丈夫⁉」
目が疲れて、重たくなったので目を閉じた。
最後に聞こえたのが
「ちょっと‼立て続けに何起きてんのさぁああ!!」
という朝陽の声だった。
その声を聴いたとたんプツンと糸が切れたかのように
意識が途絶えた。
知らない景色、見たこともない場所、見たこともないもの。
何駅も超えた後に迎えたのは、私の知らないものばかりで溢れていた。
とりあえず、遠くに行きたかった私は終電まで乗り、終電駅で降りた。
時間帯は夜の11時。
もう外は真っ暗で高校生の私が出歩いていい時間じゃなかった。
その日は、近くにあったベンチに腰を掛け、持ってきた毛布に包まって寝た。
朝まで寝ると、変な人になってしまうので誰も出歩かない、朝の4時に起きた。
そこから、近くにあった飲食店に足を運び、今に至る。
今は、午前7時30分。
そろそろ学生たちがあふれ出てくる時間だ。
何時間も居座るのはさすがに迷惑だと思ったので、2時間ごとに店を変えている。
ずっと頭に浮かぶのは、
【これからどうしよう】
だった。
旅に出た目的は父が返ってくるからだ。
それ以上に何もない。
特に何も考えることもなく、ただ歩いたり電車に乗ったり。
ただ時間が過ぎていくだけだった。
あれこれ考えているうちに、夜の7時を回っていた。
急いで近くのホテルや猫カフェなどを探したが、
さすがにここもそこまで都会だったわかじゃなく、そんなものはなかった。
近くにあった公園によって、そこのベンチに腰を掛けた。
とりあいずここで色々探すか、
そう思ってスマホを触っていたが気づいたら寝てしまっていた。
「い…おい……」
何かが聞こえる。
「…おいっ!!起きろ。」
そこではっと目が覚める。
今は何時だ………誰?
懐中電灯を当てられ、相手が逆光になっているので姿が確認できない。
「君、こんなところにこんな時間で何をしている?」
その質問で分かった。
………警察だ。
逃げなければ。
「すみません。公園でスマホ触っていたら寝ちゃって…すぐ帰りますね。」
まぁ嘘はついていない。
「………そうか。」
警察も状況で察したのか、何もしてこない。
「では………。」
「君の家はどこですか?こんな時間です。送っていきます。」
しゃべり口調が変わった。
気持ち悪い。
というか、今は何時なんだろう。
………1時30分。
警察も大変だな。
「いえ………ここから近いので大丈夫です。」
「そういうわけにもいきません。両親が心配しているかもしれませんし。」
「は?」
しまった。
声が漏れてしまった。
「……何か問題でも?」
目つきが変わり気迫がある。
やはり警察は手ごわい。
「…すみません。親、いませんので。そんな心配なさらないで大丈夫です」
もう、早くどっか行ってくれ。
「そうですか。それは失礼しました。」
「では…」
今ならいけると思って帰ろうとしたが、
そうはいかず私の声にかぶせて言ってきた。
「ですが、この時間帯に未成年を出歩かすことはできません。」
【未成年】つくづくこの言葉がキライになりそうだ。
「住所を教えてください。同行します。」
住所を教えてしまうと、さっき言った言葉が嘘になる。
そのうえ、父に連絡がいったりするのも面倒だ。
リュックを背負い、全力で逃げた。
「おいっ!!待てっ!!」
…速い。
中学生のころ陸上部だったので足はそれほどなまっていないが、さすがに追いつかれそうだ。
「おい…こら!」
追いつかれる…!
そう思った瞬間。
「あ~!!いた!ミク!」
…誰やねん。
「え…だ……むぐ」
口を塞がれた。
「すみません警察の人。うちの妹が。
こいつ夜中に出歩くのハマってるみたいで、
今日はさすがに遅かったんで探してたんす!」
わんこみたいな男子だ。
「…君の兄なのか?」
急に現れても信じがたいのだろう。
私だってそうだ。
誰だよこいつ。
まぁ私を助けようとしてくれているのなら助かるから話を合わせる。
「はい。」
「ったく。ミク。警察に迷惑かけんなって言ったよな?
兄ちゃん家で一人だから寂しいんだぞ」
なぜか親がいない設定がかみ合った。
「ごめん。たかしお兄ちゃん。公園で寝落ちしてた。」
一応、私も適当に名前を付けておこう。
「おまっ…すっごい才能だな⁉そんな奴いんの⁉」
「目の前に、」
「マジか…お前。ってあ。すみません。警察さん。」
「いえ…申し訳ないのですが、本名を一人ずつ教えていただけますか?」
…ここまでめんどくさい警察官いるのだろうか。
なぜそこまで疑うのかが分からない。
断ればもっと怪しまれるのでイチかバチか一人ずつ答えた。
「…同じですね。では、気を付けておかえりくだい。」
…………え?
なんであってんの?
怖いんだけど。
私は、有名な名前『田中』と書いた。
嘘でしょ…
っと…その前に、お礼言わなきゃだ。
「あの…」
「お前さ、田中って書いたんか?」
「え?はイ」
びっくりして声が裏返ってしまった。
「マジか!すっげぇ偶然だな⁉いや、運命か?」
「あ、名乗ってなかったな。俺、朝陽。
鈴良 朝陽(すずらあさひ)。よろしくな。」
「え…え…あ、えっと。」
嵐が去るように話が進んでいき頭が追い付かない。
「あ、私、向葵っていう…の?」
「なんで疑問形なんだよ。」
「ごめんなさい…?」
「いや、別に謝って欲しいわけじゃないよ。」
なんか…疲れた。
「さっきは災難だったな。何してたんだ?」
デリカシーというものを知らないのか?
助けてもらった身で思うのもアレだけど。
「あっ別に無理に答えてほしいわけじゃないから安心しろ!」
「……それともため口が嫌だった…です?すみません。年齢聞いてもよろしいでしょうか」
「ぶっ…あは…w」
「えっ…」
変な奴…。
おかしくて笑ってしまう。
「ちょ、ちょ、何で笑ってんの⁉…でしょうか⁈」
本当に変な奴だよ。
…変…なんか頭がボーっとしてきた。
おかしいな。
くらくらする。
あ、朝から何も食べてないや。
店に入って……水飲んで、オレンジジュース一杯飲んだだけ。
意識がもうろうしてき、倒れそうになったけど、朝陽が支えてくれた。
「えっ、ちょっと待って。何。大丈夫⁉」
目が疲れて、重たくなったので目を閉じた。
最後に聞こえたのが
「ちょっと‼立て続けに何起きてんのさぁああ!!」
という朝陽の声だった。
その声を聴いたとたんプツンと糸が切れたかのように
意識が途絶えた。

