わたしは17時お店を閉めると、クロキさんを自分の家に招いた。
どうやら、人間に転生して来たばかりらしく、住む家がないらしい。
クロキさんはわたしの狭いワンルームに入ると、部屋を見渡し「くる実さんらしい部屋ですね。」と言った。
「そうですか?何も無い部屋で恥ずかしいくらいです。」
わたしはそう言いながら、薔薇を飾る為に戸棚から花瓶を取り出した。
すると、クロキさんが後ろからわたしを抱き締めた。
そして「会いたかったです。」とクロキさんの声が耳元で響く。
わたしはクルッとクロキさんの方を振り返ると、「わたしも会いたかったです。」と言い、クロキさんに抱き着いた。
クロキさんはわたしに応えるようにギュッと抱き締め返してくれた。
久しぶりのクロキさんの温もりに心が温かくなっていくのを感じた。
「待ちくたびれましたよ。」
抱き締めあったままわたしがそう言うと、クロキさんは「申し訳ありません。」と言った。
「あれから7年も経ってしまったので、34歳になってしまいました。おばさんになっても、わたしで良いんですか?」
「くる実さんは、くる実さんです。どんな姿になっても好きな気持ちに変わりはありません。それに、僕は35歳の設定で転生してきたので、年上ですよ?おじさんでも良いんですか?」
そんなことを言い合いながら、わたしたちは笑った。
そして、わたしは「クロキさんが良いです。」と答えた。



