わたしはあまりの驚きと動揺で動くことが出来なかった。
クロキさんはゆっくりわたしのところまで歩み寄って来ると、優しい声で申し訳なさそうに「来るのが遅くなってしまって、申し訳ありません。」と言った。
わたしは久しぶりに聞くクロキさんの優しい声に涙が溢れ、涙声で「遅いですよ。」と言った。
「すいません、だいぶお待たせしてしまって。」
「ずっと待ってました、、、。」
わたしの言葉に微笑むクロキさん。
わたしは涙を拭うと、気持ちを落ち着かせ「そういえば、花束でしたよね。何の花にしますか?」と尋ねた。
クロキさんは陳列してある花たちを見渡すと、赤い薔薇を指差し「これを9本お願いします。」と言った。
わたしは「薔薇9本ですね、かしこまりました。少々お待ちください。」と言い、お会計を済ませたあと、赤い薔薇を9本を取り、長さを揃えると束にして装飾をし、最後にリボンで結んだ。
「お待たせしました。」
わたしは9本の薔薇の花束をクロキさんに渡した。
クロキさんは花束を受け取ると、「ありがとうございます。」と言い、「綺麗ですね。」と呟いた。
そして、わたしの方を見ると、今わたしが渡したばかりの花束をわたしに向かって差し出したのだ。
「えっ?」
わたしが戸惑っていると、クロキさんは「この花束は、くる実さんへのプレゼントです。9本の薔薇には"ずっと一緒にいてください"という花言葉があるみたいで。」と言った。
そしてクロキさんは「この先ずっと、僕と一緒に居てくれませんか?」とわたしの瞳を真っ直ぐに見つめ、告白してくれ、わたしはその薔薇の花束を受け取ると、涙を流し「はい。」と返事をして微笑んだ。



