次の日の朝、出勤前に岡部さんから電話がきた。
どうやら風邪を引いてしまったらしく、お休みするという電話だった。
「ごめんね、くる実ちゃん!お店一人で任せちゃうことになって!」
岡部さんはそう言うと、苦しそうに咳き込んだ。
「大丈夫ですよ。今日は特に注文も入ってないですし、発注もないので、心配しないでゆっくり休んでください。」
岡部さんはわたしの言葉に「ありがとね!お店暇そうなら、早めに閉めちゃってもいいから!」と言うと「じゃあ、よろしくね!」と電話を切った。
今日は、わたし一人かぁ。
岡部さん、大丈夫かなぁ。
そう思いながら、わたしは支度すると、お店に出勤した。
今日は穏やかな日だ。
特に急ぎの作業もなく、お客さんも少ない。
わたしはゆっくりとお花に水をやりながら、花たちに「今日も綺麗だねぇ。」と話し掛けた。
時間はあっという間に過ぎ、時刻は16時半を指していた。
今日は暇だから、17時にはお店閉めちゃおうかなぁ。
そう思っていた時だった。
カランカラン、とお店のドアが開く音がした。
「いらっしゃいませ。」
そう言って、ふとドアの方を向くと、わたしはハッと息が詰まりそうになった。
「花束をお願いしたいんですけど、良いですか?くる実さん。」
笑顔でそう言うネクタイを締めたスーツ姿の男性は、紛れもなくクロキさんだったのだ。



