「生きること」


それからわたしは、すぐに転職先を見つけて働き始めた。

転職先は、個人で経営している小さな店舗のお花屋さん。
店長は、わたしより少し年上の34歳の女性で、"魔女の宅急便"に出てくるオソノさんみたいな人だった。

まだ入ったばかりで花屋の経験もない為、出来ることは少ないが、花の陳列やレジ打ちだけでもわたしは楽しかった。

わたしは、あの森の木々たち、大樹に助けてもらった恩がある。
木と花では種類は違うが、同じ植物として恩返しをするつもりで花屋に転職することを決めたのだ。

「いや〜、最近もう一人の従業員が辞めちゃってさぁ。桐屋さんが来てくれて、本当に助かったよ!」
オソノさん、じゃなく、店長の岡部さんが言った。

わたしが「陳列とレジ打ちくらいしか出来ず、すいません。」と言うと、岡部さんは「それだけでも充分助かってるんだよ!ありがとね!」と言って笑った。

ありがとね、、、

今まで仕事をしてきて、「ありがとう」と言われたことがあっただろうか。
わたしは嬉しくなって、仕事へのやる気にも繋がり、正直給料は今までよりかなり低くなったが、ここに転職して良かったと思った。

そして、綺麗に咲く花たちが可愛くてしかたなかった。