わたしがあの「わたしの居場所」と書かれた本を見つけ、あの場所から現実世界に戻って来ると半年も経っていた。
半年も経っているということは、もうすでに部署異動をし、書類管理部に在籍していることになる。
わたしは生霊が抜けた状態で、毎日どのように、どんな表情をして暮らしていたのだろう。
現実世界には、朝がある。
6時にアラームが鳴り、カーテンを開けると、太陽の光がわたしには眩しすぎた。
仕事用の服に着替え、久しぶりに出社する。
正確には、毎日出社していたのだろうが、わたしにその記憶はない。
わたしは出社すると、書類管理部ではなく、人事部へ向かい、人事総務課長のところへ行った。
「おはようございます。」
わたしが挨拶をすると、人事総務課長の栗田課長は面倒くさそうに「朝から何のようだ?」と言った。
わたしは率直に「退職届をください。」と言った。
すると栗田課長は、「お前も退職するのか。」とでもいうように何の驚きもせず、引き出しを開けると、あっさりと退職届の書類を渡してくれた。
「お前で8人目だな。書いて早めに出してくれよ。」
栗田課長はそう言うと、すぐに視線をパソコンの画面に移した。
わたしは「失礼します。」と一礼すると、書類管理部に向かい、退職届を書きに行った。



