「生きること」


すると、森がある左側からもゾワゾワとする鳥肌が立つような気持ち悪い気配と大きな足音が聞こえてきた。

大きな足音がする方を見ると、舞さんの闇の巨人と同じように建物をなぎ倒しながら、闇人間が現れたのだ。

わたしは、ふと思った。
森の方から来たということは、あの闇人間は敬ちゃんを取り込んだ闇人間かもしれない。

「クロキさん!あっちの闇人間は敬ちゃんを取り込んだ闇人間だと思います!」
わたしは左側から来た闇人間を指しそう言うと、クロキさんは驚いた表情をした。

「敬ちゃんを助けられませんか?!わたしを助ける為に犠牲になったんです!」

わたしの言葉に難しい表情を浮かべるクロキさん。

クロキさんは、左側の闇人間を睨み付けると、そのあとわたしの方を向き「わかりました。何とかやってみます。くる実さんは、ここを動かないでくださいね。」とわたしを安心させるような口調で言うと、右手を横に伸ばした。

すると、クロキさんの右手に死神の象徴とも言える柄の長い鎌が現れたのだ。

こんな状況の中ではあるが、死神は本当に鎌を使うんだ、と思ってしまった。

そして、鎌を握り締めたクロキさんは、高く飛び上がると、左側の闇人間に向かって、鎌を振り払った。

すると、闇人間の腹部辺りに斜めに亀裂が入り、闇人間は弾け、大量の人間が落ちてきた。

わたしはその中から敬ちゃんをすぐに見つけた。
敬ちゃんは、ピクリともせずグッタリしていた。

「敬ちゃん!!!」
わたしがそう叫ぶと、クロキさんは敬ちゃんだけを抱えて、瞬時にわたしのところに戻って来た。

敬ちゃんの赤パーカーはボロボロになり、吐血したのか口まわりが血だらけだった。
そんな敬ちゃんの姿に涙が溢れ、泣かずにはいられなかった。