「生きること」


よく見ると、クロキさんが着ているスーツは傷だらけで、クロキさんの頬にも切り傷があった。
わたしが心配そうにクロキさんの頬にある切り傷に手を当てると、クロキさんは「これくらい平気ですよ。」と微笑んだ。

「とりあえず、場所を移しましょう。ここは、もう安全な場所はありません。僕がこんな場所を作ってしまったばかりに、、、たくさんの人を闇に落としてしまい、くる実さんにまで危険な目に遭わせてしまいました。」
クロキさんは悲しげにそう言い、そして「居場所を無くした人たちが落ち着ける場所を作りたかっただけなのになぁ、、、。」と呟いた。

わたしは「闇を作り上げたのは舞さんです。クロキさんのせいじゃありません。」と言った。

クロキさんは俯きながら首を横に振ると「舞さんがあぁなってしまったのも、僕の管理不足だからです。」と言い、自分が情けないとでもいうように一つ溜め息をついた。

「全てこの居場所を作り上げた僕の責任です。」
クロキさんは声を震わせて言った。

「、、、クロキさん」
わたしは、クロキさんを呼んだ。

クロキさんは俯いていた顔を上げると、悲しげな瞳でわたしを真っ直ぐに見つめた。

「わたしは、クロキさんに感謝しています。クロキさんがこの場所を作ってくれたおかげでわたしは自分の居場所を見つけることが出来ました。そして、人間関係が苦手なわたしに友達が出来て、大切だと思える人にも出会えました。」
わたしはゆっくりそう言うと、「この場所が無ければ、クロキさんにも出会えなかったんですよ?」と言い、両手でそっとクロキさんの頬に触れた。

「クロキさんは、わたしにとって大切な人です。」

クロキさんはわたしの言葉に切なそうに微笑むと、「ありがとうございます。」と言い、再びわたしを強く抱き締めた。