「生きること」


わたしはどこに向かっているのか分からないまま走った。
よく周りを見渡して見ると、木々たちの葉っぱが枯れ始めていることに気付いた。

この場所も本当に終わりなんだ、、、そう思わざるを得なかった。

わたしはしばらく走ったが、正直体力がそれほどあるわけではないので、すぐに疲れてしまい、足を止め息を整えようとした。

そして、ふと前を見ると、向こう側に住宅街が見えた。
せっかく森の中に逃げ込んだのに、戻って来てしまったのだ。

すると、またまたあの闇に包まれた荒々しい集団の声や足音が聞こえてきた。

あぁ、もうおしまいだ、、、
そう思い、ふと視線を下げると、自分の左手首の時計に気付く。

恐怖のあまり、時計の存在を忘れていたのだ。

奴らが段々とこちらに向かって走ってくる。
ゾンビのようにもう自分の意識など無いだろうというような表情の人たちばかりだ。

わたしは一度深呼吸をして息を整えると、何が起こるのか分からないまま時計の中央にあるボタンを押した。

すると、スッとわたしの目の前にクロキさんが現れ、左手をパチンと鳴らした。

その音と共にこちらに向かって走ってきていた集団は、一瞬にして消え去った。

そして、クロキさんはこちらを振り向くと、わたしを勢い良く抱き締め「くる実さん、無事で良かった。」と安心したような声で言ったのだ。