「生きること」


「さぁ、くる実ちゃん、早く逃げて!!!」
敬ちゃんはそう言うと、「でも!」と抵抗するわたしの腕を掴み、バリアが壊れた隙間まで連れて行こうとした。

そして、わたしの方を向くと「くる実ちゃん、友達になってくれてありがとう。本当にくる実ちゃんに出会えて良かった。生きる気力がなかった俺に、生きてて良かったと思わせてくれたのは、くる実ちゃんなんだ。」と敬ちゃんはそう言い、涙を流しながら微笑んだ。

「敬ちゃん、、、ヤダよぉ、、、」
「くる実ちゃん、絶対生きるんだよ。」
そう言うと、敬ちゃんはわたしをバリアの外に出し、闇人間が居ない方向に向かって背中を強く押した。

「敬ちゃん!!!」

わたしが戻ろうとすると、敬ちゃんは「来るな!!!早く逃げろ!!!何があっても振り向かないで走れ!!!」
そう言って、敬ちゃんは闇人間の方へ向かって走って行った。

わたしは震える足を必死に抑えると、敬ちゃんの言う通り敬ちゃんに背中を向けて走り出した。

涙が止まらなかった。
みんなわたしのせいで犠牲になっていく。
自分を責めながら、わたしは走り続けた。

すると、背後から敬ちゃんの苦しむ叫び声が聞こえてきた。

わたしはその声に鳥肌が立ち、つい足を止め、振り返りそうになったが「何があっても振り向かないで走れ!」という敬ちゃんの言葉を思い出し、泣きながら走り続けた。

敬ちゃん、、、!!!

わたしの頭の中には敬ちゃんの笑顔、今まで一緒に過ごしてきた時間が蘇り、それがもう戻って来ないことに悲しみ、そして怒りへと変わっていくのを感じた。