「生きること」

 
「大丈夫だよ。俺たちはバリアの中にいるんだから。」
わたしを安心させてくれようとそう言う敬ちゃんの声も震えていた。

闇人間は大きな足音を立て、一歩ずつこちらに向かって歩いて来た。

そして、バリアに向かって拳をぶつけたのだ。

「きゃー!!!」
あまりの恐怖にわたしは耳を塞いで叫んだ。

バリアと共に大樹も大きく揺れる。

闇人間は容赦なくバリアに向かって拳をぶつけ続けた。
そのたびに大樹は大きく揺れ、上から葉っぱが落ちてくる。

すると、さっきまで光り続けて居た大樹が段々と弱まっていくのを感じた。
それと同時に闇人間のパンチでバリアにヒビが入り始めてしまったのだ。

バリアのヒビに焦るわたしたち。

ヒビは段々と大きく入っていき、そして大きな穴が空いてしまった。

「やばいなぁ、、、!」
敬ちゃんはそう溢すと、わたしを抱き締めたまま立ち上がった。

そして、わたしから離れると、何か覚悟を決めたように「くる実ちゃん、逃げるんだ!」と言った。

「え!敬ちゃんは?!」
「俺はここに残って、こいつを引き付けるよ!」
「駄目だよ!無理だよ!一緒に逃げよ?!」

わたしの言葉に敬ちゃんは首を横に振ると、「最期くらい格好つけさせてよ。」と言い、笑って見せた。