「生きること」


奴らは近くに居るようだったが、わたしたちを探しているようで、荒い足音があちらこちらを行き来しているのが分かった。

震えながら両手で口を押さえるわたしの背中を「大丈夫」とでも言うように、優しく撫で続けてくれる敬ちゃん。

すると、周りの木々たちが大きく揺れ始めた。
大樹のバリアの中に居るわたしたちには、どれくらいの風力なのか分からないが、かなり強い風だと感じた。

風は、奴らが居るであろう方向に向かって吹いていた。
もしかしたら、奴らを追い払おうと向い風を吹かせてくれているのかもしれない。

森も戦っているんだ。
そして、わたしたちを守ろうとしてくれているんだと感じた。

ありがとう、心の中でお礼を言うと、わたしは涙が出そうになった。

すると、荒々しい乱暴な声と足音たちが遠ざかっていくのを感じた。
やはり森や風が奴らを追い払おうとしてくれているんだ。

そう安心したのもつかの間、空から黒い大きな何かが降ってきて、地面が割れる程の振動を与えたのだ。
何かと驚いたが、その正体はすぐ目の前に現れていた。

空から降ってきたのは、先程住宅街に現れた闇人間だったのだ。
しかも、先程の闇人間よりも更に大きく感じた。

「マジかよ!!!」

敬ちゃんは慌ててわたしを強く抱き締めた。

闇人間に目や鼻など、顔についているパーツはないが、わたしたちを認識し、見下ろしているのがわかった。

どうしよう、、、

わたしと敬ちゃんは恐怖のあまり、頭が働かず動くことが出来なかった。