そして、わたしたちは足を進め、森を目指した。
路地裏は当然危ないと予想がつくし、公園だってどうなっているか分からない。
一番安全だった住宅街も、もう安全な場所ではなくなってしまった。
そうなると、あの綺麗な湖がある森しか身を隠す場所がないのだ。
森の入口まで辿り着くと、クロダさんは足を止めた。
クロダさんが立ち止まったことを不思議に思いながらも、わたしと敬ちゃんも足を止める。
「クロダのばあちゃん、どうしたの?」
敬ちゃんがそう尋ねたあと、クロダさんが足を止めた理由がすぐに分かった。
背後から禍々しい気配と、何とも言えない背中をザワザワとさせる気持ちが悪い気配を感じたからだ。
振り返ると、そこには3階建てのアパートよりも大きな黒い人型の闇がこちらを向いて立っていた。
「な!何あれ?!」
敬ちゃんが声を上擦らせて驚く。
クロダさんは、歩き出すとわたしと敬ちゃんの前に立ちはだかった。
「あれは、、、舞さんですか?」
わたしがそう訊くと、クロダさんは「いや」と否定したあと「あれは、舞が作り上げた闇人間だろうね。心に強い闇を持った人間を集めて人型に作り上げたのさ。そんなことが出来るくらい、舞の闇の力は強くなってるんだよ。」と言った。
「敬介、くる実を連れて森の奥に逃げな。」
「でも!クロダのばあちゃんは?!」
「ここは、ワシが食い止める。」
クロダさんは冷静だった。
そして、わたしたちを守るように大きく手を広げた。



